AHS 60th Annual Scientific Meeting

American Headache Society 60th Annual Scientific Meeting

鈴木圭輔  獨協医科大学神経内科

American Headache Society 60th Annual Scientific Meeting
Marriott Marquis San Francisco
June 28 - July 1, 2018

第60回アメリカ頭痛学会国際会議参加記

第60回となるアメリカ頭痛学会(American Headache Society:AHS)の国際会議が2018年6月28日から7月1日までサンフランシスコにて開催され,今回初めて参加してきました.出国時にはESTAの期限切れや,飛行機が強風の影響で5時間ほど出発が遅れるといったトラブルがありましたが27日午後,サンフランシスコ空港へ無事到着しました.晴天で気候もよく会場であるマリオットマーキスホテルにはサンフランシスコ空港からタクシーで30分ほどで到着しました.同日faculty receptionに参加させて頂き,慶応義塾大学 清水利彦先生や,以前大阪での頭痛学会やHeadache Master Schoolに来られていた時にご挨拶したAHS president,カナダ ダルハウジー大学Allan Purdy教授ご夫妻とお話しすることができました.

最初AHS国際会議の受付がホテルのどこにあるか迷い,他の参加者からも聞かれたりしましたが,地下階を貸し切って様々なセッションが行われていました.私は6月28日の10:30〜Pan-American / Asian Symposiumというセッションで清水利彦先生座長のもとパーキンソン病と頭痛に関して発表しました.我々は以前多施設研究においてパーキンソン病患者では片頭痛の生涯有病率や一年有病率が健常者より低く,パーキンソン病患者では片頭痛や頭痛の重症度がパーキンソン病発症後に改善方向に向かうということを報告しました(Suzuki et al, Cephalalgia 2018; 38: 1535-44).今回の発表ではその論文からのパーキンソン病における片頭痛の合併率に関するデータの他,片頭痛の予兆(あくび,食欲変化,眠気)とドパミン系の関連について,ドパミンの片頭痛発作における役割などについて口演しました.我々の検討ではパーキンソン病では片頭痛の合併率は健常対照者より低かったのですが,片頭痛とパーキンソン病の発症リスクを関連づける報告もいくつかなされています(Scher et al, Neurology, 2014;83:1246-52).台湾からの片頭痛患者41,019人と健常者41,019人を対象とした大規模研究では片頭痛があるとパーキンソン病に1.64倍なりやすいという結果があり(Wang et al, Cephalalgia, 2016;36:1316-23),片頭痛がパーキンソン病のリスクになるのかという質問がフロアからありました.この検討では大規模サンプルを用いた利点はありますが,片頭痛やパーキンソン病の診断はデータベースのICDコードを使っているという研究限界があり,今後の追認研究が必要と考えられます.同じセッションでは韓国のSong先生はpopulation-based studyにおいて短時間睡眠(6時間未満)は片頭痛発作の頻度増加への有意な予測因子になることを多変量回帰分析で示され,睡眠の片頭痛における重要性を口演されていました.

他に,興味深い話題として頭痛の急性期治療としての非侵襲的迷走神経刺激療法や,片頭痛の皮質興奮性に対す経頭蓋磁器刺激療法,慢性群発頭痛に対する翼口蓋神経節刺激療法,片頭痛に対するCGRP製剤などがありました.

今回は第60回AHS国際会議には約1300人の参加者があったようです.国際頭痛学会より規模は小さいですが,まとまった会場で世界の著名な先生が集まり,頭痛の最新知識を得ることができ非常に有意義な時間を過ごすことができました.ぜひ今後も機会があれば参加したいと考えています.シンポジウム参加にご推薦頂きました慶応義塾大学神経内科 清水俊彦先生,日本頭痛学会代表理事 鈴木則宏先生,獨協医科大学神経内科 平田幸一先生に深謝します.

図1

写真1:Faculty receptionにて.Scientific program committee chair, Peter Goadsby教授の挨拶

図2

写真2:Pan-American / Asian Symposiumにて

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